株主総会の性格と機能

 株主総会の形骸化がいわれて久しく、なかには株主総会を開かずにすませている会社もあるようですが、本来の性格と機能についてはどのようなものなのでしょうか。

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 株主総会は株式会社にかならず設置すべき必要的機関であり、会社の実質的所有者である株主によって構成される最高の意思決定機関としての性格をもちます。
 また、その機能は株主による最高の意思決定機関としての性格から、会社の基本的な事項を決定することにあり、そのほかに取締役の専権を抑止することも期待されています。
 会社の実質的所有者は出資者である株主です。したがって、会社の意思は株主の総意により決定すべきことになります。株主総会は会社の意思を決定するための株主による最高の機関と位置づけることができます。
 株主総会の構成員は株主であり、株主の全員によって構成されるものです。
 しかし、法律は発行済株式総数の3分の1をこえない範囲での優先配当をうける議決権のない株式の発行を認めており、また単位未満株主や自己株式、相互保有株式については議決権を認めていません。
 これらの議決権を有しない株主に、総会の構成員としての出席権などの権利を認めるかどうかについては見解が分かれています。
 株主総会は必要的機関であり、定款によっても、全株主の同意によっても総会を欠くことはできません。
 また、株主総会は、会議を開かないと、その権限を行使して機関として活動できない点では臨時的な機関であり、いつでも会議を開くことができ、全員が異議なく集合すれば特段の手続を経ることを要しない点では恒常的な機関であるといえます。
 株主総会は会議を開き、決議をすればそれが会社の意思となるため、最高の意思決定機関としての性格をもちます。
 ただし、総会によって決定された意思は、代表取締役その他の機関によって行われます。
 総会の決議は、直接に対外的な効力をもつことはありません。総会で決められたことを代表取締役が執行してはじめて対外的効力をもつことになります。そのため、業務執行をする代表取締役には、総会決議を遵守する義務が課せられています。
 昭和25年改正前の商法のもとでは、株主総会はすべての事項について決議をすることができるものとされ、その決議は法令・定款に違反しないかぎり、ほかの機関を拘束するものとされていました。
 しかし、昭和25年改正法は株主総会の権限を縮小し、かつ取締役会を新設して業務執行に関する決定権を委ねてしまいました。
 そのため、現在では総会はもはや最高の機関としての機能は失われたとする見解さえあります。
 しかし、現行法のもとでも、役員の選任、解任、合併、解散、定款変更そのほかの重要事項は総会の権限事項とされており、株式会社の基本的事項を決定する機関として機能しています。
 また、少数株主の招集請求権、取締役・監査役の説明義務、株主の提案権、株主権の行使に関する利益供与の禁止などの規定からも分かるとおり、株主総会には会社の最高の機関として代表取締役および取締役会の専権を抑止する機能が期待されています。
 これをよく機能させるためには取締役は株主に対してできるだけ会社経営に関する情報を提供して株主との意思疎通を図るようにする必要があります。
 株主総会の現状
(1)株主総会は、以上のとおりの性格と機能をもちますが、多くの株主はいわゆる投機株主であって、自ら議決権を行使することに関心をもたず、株主総会に出席しないのが現状です。そのため株主総会は形骸化しているとの指摘もあります。とくに、取締役が総会をリードするにおよんで、会社の実権は株主総会から取締役、それも代表取締役である社長に移っているのが実情です。
(2)また、小企業においては、設問にあるとおり形式上も株主総会を開かずに、たんに議事録だけ作成して登記だけ済ますといったケースも多いようです。
 しかし、こうした傾向は望ましいものではなく、会社の基本的事項について総会の決議なしに業務執行をした場合には株主総会の不存在を理由に無効とされることもあります。
 その意味では、株主も会社側も株主総会が本来の趣旨にもとづき機能するように努力する必要があります。

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