取締役会とは
会社の役員のうちでも、取締役だけで構成される取締役会とは、法律上どのような性格をもった機関なのでしょうか。
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取締役会は、株主総会によって選任された取締役の全員で構成される会議体であって、業務執行に関する意思決定機関であるとともに、代表取締役または業務執行取締役の業務執行を監督する機関です。
取締役会は、取締役の全員で構成される機関です。そして、個々の取締役は、取締役会を構成するメンバーにすぎません。
また、個々の取締役は、取締役会が代表取締役その他の業務執行取締役に明示または黙示に委任をした場合を除き、個々的には会社の業務執行についての意思決定権を有していません。
すなわち、取締役の全員が取締役会を構成して、会社の業務執行に関する意思決定をするとともに、代表取締役その他の取締役に対する監督権限を行使するのです。
(1)株主総会と取締役会との関係
株主総会は、会社の最高機関ですが、株主は実際には会社事業の経営につき知識、経験を有していないのが一般です。したがって業務執行の具体的内容につき、すべて株主総会で決議することは、会社事業の合理的運営の観点からみて不適当です。
そこで法律は、原則として株主総会の決定事項を基本的事項にかぎり、それ以外の事項の決定については、会社経営の専門家である取締役で構成される取締役会に委ねることにしています。
しかし、株主が会社事業の経営に関心がある場合があり、また、法律で株主総会の決定事項とはされていないが、総会の権限とすることを欲する場合があるので、法定事項でなくても、定款で定めることによって総会の権限とすることはできます。
(2)取締役会と代表取締役との関係
取締役会は、会社の業務執行に関する決定権を有する機関ですが、日常の営業取引などの業務執行についてまで、すべて取締役会が決定しなければならないというのでは、煩雑であり、かえって取締役会の機能に支障をきたすことになりかねません。
そこで、取締役会は、代表取締役その他の業務執行取締役を選任して、実際の業務執行手続にあたらせるとともに、日常的な重要でない事項については、その意思決定も代表取締役その他の業務執行取締役に委任するのが普通です。
そして取締役会が代表取締役その他の業務執行取締役を選任したときは、原則として、そうした範囲の決定権限の委任を黙示的に行ったものとみるべきです。
しかし、どんな事項でも代表取締役に委ねてもよいとすると、代表取締役の権限が強くなりすぎて、その専横の可能性が生じるとともに、取締役会による業務執行の監督権限が実行性を発揮できなくなるおそれがあります。
そこで、商法上取締役会が決定し、あるいは取締役会の決議によるものと定められている事項は、解釈上当然に取締役会が決定しなければなりません。さらに、昭和56年の商法改正により、それ以外にも下記のような一定の事項およびその他の重要な業務執行については、取締役会が自ら決定しなければならず、これを代表取締役その他の業務執行取締役に委ねることができない旨が定められました。
1. 重要なる財産の処分および譲受け
2. 多額の借財
3. 支配人その他の重要なる使用人の選任および解任
4. 支店その他の重要なる組織の設置、変更および廃止
取締役会は、会社の業務執行についての意思決定機関であるとともに、代表取締役その他の取締役に対する監督機関でもあります。これは、昭和56年の改正商法によって明文化されました。
業務執行の監督の手段として法律上規定されているうちで重要なものは、代表取締役の選任・解任権、代表取締役その他の取締役の取締役会に対する会社の業務執行状況報告義務、各取締役の取締役会招集請求権、取締役の違法行為に関する監査役の取締役会への報告義務などです。
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