取締役の任期の定め方

 取締役の任期は2年と法定されているようですが、定款でこれを短縮したり、伸ばしたりすることができるでしょうか。また、一般に取締役の任期はどのように定めでおくのがよいのか説明してください。

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 取締役の任期については、市販されている定款の用紙にも記入欄がありますし、定款に規定を置いている会社がほとんどだと思いますが、自由に何年と決めてもいいというものではありません。
 商法は、設立当初の最初の取締役の任期は1年をこえることができないと定め、その後の取締役の任期は2年をこえることができないと定めています。
 このように、商法は、取締役の任期は最長で2年(設立当初の取締役については1年)と定めているのですから、これよりも短縮することは自由で、仲ばすことは全くできないようにも思えます。はたしてそうなのでしょうか、検討してみましょう。
 なお、以下の説明では、原則として設立当初の最初の取締役の場合は省略してあります。
 商法は、2年をこえてはいけないとしているわけですから、それよりも短い期間とすることは何ら法に反しません。したがって、定款で取締役の任期を2年よりも短い期間とすることについては、全く問題はありません。もっとも、取締役は株主総会において選任されるわけですから、例えば取締役の任期を3か月とするようなことは、選任手続として3か月ごとに株主総会を開催しなければならなくなるわけですし、業務執行の面からいっても、3か月ではまだ業務に慣れる前に任期切れになってしまうのが実情でしょうから現実的ではありません。
 取締役の任期が、2年(最初の取締役の場合は1年)をこえてはならないと定められているのは、取締役会の構成員である取締役の権限が大きく、また、解任についても厳格な要件が必要とされていることとの関連で、あまり長期の任期は取締役の専横を招きやすいためせめて、2年に1度は、株主に信任を問う機会を与えるべきであるという考えにもとづくものです。
 また、会社の設立当初などの最初の取締役の任期は、1年をこえてはならないと定められているのは、それ以後の取締役選任の場合と比べて、選任のときに、その取締役の経営手腕・力量などを十分知ることができないことが多いことから、なるべく早い時期に、取締役としての適否について、株主に判断する機会を与えるべきであるとされたためです。
 このような法の趣旨から考えて、たとえ定款によっても、商法が定めた取締役の任期の最長期間をこえて取締役の任期を定めることは、原則として許されないことになります。
 ただし、例外として、定款で、任期中の最終の決算期に関する定時総会の終結に至るまでその任期を伸長することは認められています。これは、任期中の最終決算期に関する定時総会の終結前に取締役の任期が満了するような場合に、たんに取締役の選任のためだけに臨時株主総会を開かなければならなくなるという不便を避けるためのものです。
 上に述べた任期伸長を定めたことを明確にするため、多くの場合、取締役の任期について定款で次のように定めています。
 「取締役の任期は、就任後2年内の最終の決算期に関する定時総会の終結の時までとする。」
 なお、このように定めることは、任期の伸長とは別の面においても意義があります。すなわち、定時総会は毎年間一日に開かれるとはかぎりませんから、例えば、3月末日が決算期の株式会社で、6月26日の定時株主総会において選任された取締役は、2年後の定時株主総会が6月20日に開催されたときは、このときには未だ2年が経過していないことになりますが、上にあげたように定款に記載しておけば、この定時総会の終結時に任期が満了したことになり、当然この定時総会で新たな取締役の選任をすることになるからです。こうしておけば、新取締役選任のためだけにあらためて臨時株主総会を開く必要はなくなるからです。この場合には、任期が2年よりも短いことになりますが、すでに述べたように、任期の短縮は何ら問題がありません。

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