税法上の役員とは
当社には、取締役8名、監査役1名の役員がおり、このほか、役員を引退した前社長が相談役として会社の経営に携わっています。税務上この相談役である前社長は、役員として取り扱うことになるのでしょうか。
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役員を引退して、呼称は相談役であっても、会社における地位、影響力および行っている職務の内容からみて、他の役員と同様に、実質的に会社の経営に携わっている場合には、本問の前社長は税務上役員として取り扱うことになります。
法人税法上の役員とは、法人の取締役、監査役、理事、監事および清算人ならびにこれら以外の者で、法人の経営に従事している次に掲げる者とされます。
1. 法人の使用人(職制上使用人としての地位のみを有する者にかぎる。2.において同じ)以外の者。
2. 同族会社の使用人のうち、一定の株式数を有している大株主である者。
よって本問の相談役の場合は、会社の経営に携わっている使用人以外の者ということになりますので、役員と判定されることになります。
それでは、具体的に要件の内容を確認してみましょう。「会社の経営に従事する」とは、会社の業務執行の意思決定に参加しているかどうかによって判定されます。次に2.の内容ですが、これは同族会社の使用人で、大株主である者が経営に従事している場合には、役員として取り扱うというものであります。
この場合の大株主とは、次のような要件の全てを満たしている株主です。
1. その使用人の属する株主グループが次に掲げるいずれかの株主グループに該当していること。
ア. 第1順位の株主グループの持株割合が50%以上である場合における、その株主グループ。
イ. 第1、第2順位の株主グループの持株割合を合計して、はじめて50%以上になる場合における、これらの株主グループ。
ウ. 第1〜第3順位の株主グループの持株割合を合計して、はじめて50%以上になる場合における、これらの株主グループ。
2. その使用人の属する株主グループの持株割合が10%超であること。
3. その使用人(その配偶者および、これらの者の持株割合が、50%以上の他の会社を含む。)の持株割合が5%超であること。
次に「同族会社」の定義ですが、1.ア.〜ウ.に掲げている条件に該当している会社、すなわち3グループ以下の株主グループによって所有している株主の総数が、その会社の発行済株式総数の50%以上に相当する会社をいいます。したがって、役員の判定をするに当たって1.のいずれかの要件に該当すれば、同時に同族会社の定義も満たすことになるわけです。
さらにこれらの判定単位となる「株主グループ」の範囲ですが、例えば、A株主の親族や使用人などAと特殊な関係のある者が、もし株主として株式を所有しているときは、これらの関係者の持株も合計してA株主グループとして判定するとされています。具体的な範囲の内容は次のように定められています。
(1)個人である同族関係者
1. Aの親族(配偶者、6親等以内の血族および3親等内の姻族)
2. Aの内縁の配偶者
3. Aの使用人
4. Aから生活費を受けている者
5. 上記2.から4.までの者と一緒に生活している者
(2)法人である同族関係者
1. Aひとりで、50%以上の株式を持っている当該会社(B社)
2. AとB社で、合わせて50%以上の株式を持っている当該会社(C社)
3. AとB社とC社で、合わせて50%以上の株式を持っている当該会社(D社)
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