監査役の人数が少なくなったとき

 当社には監査役が3人いたのですが、そのうちの常勤監査役が急死しました。現在計算書類の監査期間中なのですが、このような場合はどうすればよいのでしょうか。

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 資本の額が5億円以上かまたは負債の額が200億円以上のいわゆる大会社では、社外監査役を含む3名以上の監査役を置かなければならず、しかも監査役の互選により、うち1名以上は常勤の監査役でなければならないとされています。このような規模の会社では、2名以下の監査役あるいは非常勤の監査役だけでは充分な監査がでぎないと考えられたためです。
 そうは言っても監査役も生身の人間ですから、本問のように不慮の事故や病気によって急死されるようなこともないとは言えません。しかもそれが計算書類の監査期間中であるとすれば、株主総会までのスケジュールも迫っているわけで事態は急を要します。
 もし従来の監査役の人数が法律または定款で定める最低人数以上であって、1名が欠けてもなお最低数以上の監査役がおり、ただ常勤監査役が欠けただけという場合であれば、残された監査役の互選により、うち1名に常勤監査役に就任してもらう方法が考えられるでしょう。もっとも「常勤」とは、他にフルタイムの職務を有しないで監査業務に従事すること、すなわち会社の営業時間中常に監査を行いうるような勤務態勢にあることを意味すると解するのが多教説ですから、これによる限り常勤監査役に就任する者には、これまで就いていた他社の監査役などがあれば、これを辞任してもらう必要があります。
 しかし本問のケースは急死した監査役が欠けたことにより残された監査役は2名になってしまったのですから、法律上の最低人数を下回っているわけでこの方法は採れません。このような場合、本来であれば株主総会を招集して新たな人を監査役に選任し、そこで選任された監査役と従来からの監査役との互選により常勤監査役を選任するのが本来の手順です。しかし計算書類の監査期間中ということは定時株主総会までの日数が迫っているわけで、この時期に定時株主総会に先立って監査役選任のための臨時株主総会を招集し、そこで選任された監査役を含めた監査役に、定時株主総会までの監査業務をやってもらうというのは現実問題として無理があるでしょう。
 そうであるとすると、残された方法として裁判所に申し立てて、仮監査役を選任してもらうという途を採らざるをえません。すなわち商法280条・285条により「法令又ハ定款二定メタル監査役ノ人数ヲ欠クュ至リタル場合」で「必要アリト認ムルトキ」は、裁判所は利害関係人の請求によって「一時監査役ノ職務ヲ行フベキ者」を選任できるとされていますので、この仮監査役の選任を求めることとするのです。会社が上記の「利害関係人」にあたることはもちろんですし、定時株主総会までの日数が追っている本問のケースが「必要アリ」と考えられることは言うまでもありませんから、申立が認められることは間違いないでしょう。
 その場合、仮監査役と従来の監査役の互選により常勤監査役が選任されることとなりますが、仮監査役もその職務を行いうる地位において他の監査役と差はありませんので、仮監査役を常勤監査役に選任することも差し支えないと解されています。いずれにせよ計算書類の監査期間中であることを考えれば、監査のベテランに仮監査役に就任してもらうような配慮が必要だと思います。

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