監査役の増員

 平成5年の商法改正により、大会社では監査役の人数が3人以上でなければならないとされたそうですが、当社では、現在2人しか監査役がいません。いつから監査役を3人以上選任しなければならないのでしょうか。また、3人以上選任しなかった場合はどうなるのでしょうか。

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 資本金が5億円以上かあるいは負債額200億円以上の、いわゆる大会社では、昭和56年の商法改正の際監査役は2名以上置くべきことが定められました。
 しかし平成5年の商法改正により、上記のような大会社では監査役は3名以上を要するとし、さらに監査役の合議機関としての監査役会の制度を導入しました。このねらいはどこにあるのでしょうか。
 大会社において監査役の最低人数を2名から3名に引き上げたのは、何といっても大会社の監査対象がますます広範かつ複雑になってきているため、その監査に遺漏がないようにするためには監査態勢の強化を図る必要があると考えられたからです。そして複数監査役による監査の組織化を確立し、より客観性の高い監査を実現するために監査役の合議機関としての監査役会の制度を導入しましたが、このような合議機関がその効果を発揮するためには、それにふさわしい最低人数を確保する必要があるわけです。このような点からも通常の合議機関の最低人数である3人以上とすることが必要と考えられたのです。
 それではこれまで2名しか監査役のいなかった大会社は、いつまでに監査役を増員しなければならないのでしょうか。
 この点について改正法の附則7条には、「この法律の施行の際現に存する株式会社で株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律第2条各号の1に該当するものについては、改正後の株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の規定は、この法律の施行後最初に到来する決算期に関する定時総会の終結の時までは、適用しない」としています。改正法の施行期日は平成5年10月1日ですから、これ以降最初に到来する決算期に関する定時総会において改正法の内容に応じた措置を講ずればよいわけです。したがって、現在監査役が2名の大会社では、この総会終結時までに監査役を3名にすればよいことになるわけです。
 それではさらに、上記の時期までに監査役を増員しなかった場合、どういう問題が生ずることになるのでしょうか。
 もとよりその状態で監査を行った場合、監査役の最低人数を欠いたまま監査が行われたことになるわけですから、その監査は原則として瑕疵を帯びたものと考えざるをえません。
 また監査報告書に、計算書類を適法とする会計監査人の監査意見を相当でないと認めた旨の記載がない場合、特例法の定めにより、通常であればこれら計算書類につき、定時総会において承認決議を求める必要がないのですが、監査役の最低人数を欠いたまま作成された監査報告書の場合には、そのような記載がないときでも上記の特例法上の効果を認めることができないものと考えざるをえないでしょう。
 さらに、監査役を3名以上置くべき義務が生じた時点以降、増員手続を怠っていると、その会社の取締役は、100万円以下の過料に処せられます。
 以上のような問題を生じないために、前述の時期までに増員の措置をとるべきことは当然です。

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