社外取締役とは

 社外取締役とはどのような取締役のことをいうのでしょうか。

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 社外取締役とは、会社の業務執行に関与せず、単に取締役会の構成員としての地位のみを有する取締役のことをいいます。
 これは、商法上区別されているわけではないのですが、社内取締役と社外取締役という区別が使われることがあります。社内取締役とは、代表取締役や業務担当取締役、使用人兼務取締役などのように、会社の業務執行に関与している取締役をいい、社外取締役とは業務執行に関与せず、単に取締役会の構成員であるにすぎない取締役をいいます。
 かつては、株式会社の取締役はそれぞれが業務執行権や会社を代表する権限を有していたのですが、昭和25年の改正商法により、取締役会と代表取締役の権限分化がはかられ、取締役は当然には業務執行や会社代表権限を有するものではなくなりました。すなわち、取締役会が会社の業務執行に関する意思決定を行い、その決定にもとづいて代表取締役が会社の業務執行と会社代表行為を実行することになりました。その結果個々の取締役は、取締役会の構成員として会社の業務執行についての意思決定を行い、取締役会を通じて代表取締役などの業務執行の監督、コントロールに参加するだけとなり、会社の業務執行や代表権限を当然には持たないこととなったのです。
 取締役会による、代表取締役などの業務執行の監督を実効性あるものにするためには、取締役会の権限を強化するとともに、取締役会の構成を、業務監査にふさわしいものにすることが必要です。取締役会を社内取締役だけで構成するのではなく、自らは業務執行に携わらず、会社の業務執行を客観的立場から冷静に監視監督できる社外取締役を取締役会の構成員に加えた方が、より適切に業務執行の監督ができることは明らかです。
 わが国の株式会社の取締役は、現実には、そのほとんどが従業員が出世して取締役となり、一定の業務執行を担当するいわゆる業務担当取締役であるか、または代表取締役の家族や縁故者であるというのが実情です。しかし、米国などでは業務執行を担当せず、かつ出身も社外からという社外取締役が存在する会社が少なくないようです。会社の業務執行を適法、妥当に遂行させるために、社外取締役を若干名加えることは望ましいことです。
 社外取締役は、会社の業務執行を担当しないという点を除けば、社内取締役と同じ権限を有し、義務を負っています。
 第一に、社外取締役も取締役会の構成員として、会社の業務執行の意思決定に参加します。具体的には、取締役会に出席し、会社の業務執行について報告を受け、意見を述べ、議決権を行使する権限と義務を負います。
 第二に、社外取締役は、取締役会の構成員として、代表取締役や業務担当取締役が行う業務執行を監督する権限と義務があります。取締役会が、各取締役の業務執行に対する監督権限を有することは、学説も判例も以前から認めていましたが、昭和56年の商法改正で、「取締役会ハ会社ノ業務執行ヲ決シ取締役ノ職務ノ執行ヲ監督ス」と明文化されました。
 取締役会の業務執行に対する監督権限は、適法性および妥当性の両方におよびます。
 取締役の、他の取締役に対する監視、監督権限は、同時に義務でもあります。この、取締役の他の取締役に対する監視義務について
 (イ)代表権のない取締役は、取締役会に上程された事項についてのみ他の取締役を監視、監督する義務を負うのか
 (ロ)社外取締役は常勤でないことが普通であるから、他の取締役に対する監視監督義務は、社内取締役よりもその程度が軽くなるのかという問題があります。
 (イ)について、判例は「株式会社の取締役会は会社の業務執行につき監査する地位にあるから、取締役会を構成する取締役は、会社に対し、取締役会に上程された事柄についてだけ監視するにとどまらず、代表取締役の業務執行一般につき、これを監視し、必要があれば、取締役会を自ら招集し、あるいは招集することを求め、取締役会を通じて業務執行が適正に行われるようにする職務を有する」としています。
 (ロ)については、判例は、社外取締役として名目的に就任した取締役についても、社内取締役と同一の内容の職責を負うと判断しています。
 社外取締役は、単に業務執行は担当しないという点を除き、その地位は社内取締役と違いがありません。取締役会を通じて客観的立場からの業務執行の監督を行うという役割を担っており、その監視、監督義務は、会社の業務執行全般におよびます。

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