未成年は会社役員になれるか

 当社のオーナーである社長が自分の息子を新たに会社の役員に加えたいと考えています。息子は未成年ですが問題ないでしょうか

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 中小企業のオーナー社長が、将来の布石として未成年者であっても自分の息子を会社の役員に選任し経験を積ませたい、と考えることも理解できないことではありません。ときにはオーナー社長の死亡、病気などの事情から、やむをえず未成年者の息子がその地位を引き継がなければならない、といったことも考えられます。このようなことは法律的に可能なのでしょうか。
 結論から言えば未成年者も会社役員になれます。ただし、いくつか注意すべき点もありますので順を追って考えてみることにしましょう。
 ご承知のように未成年者とは、満20歳に達しない者をいいますが、このような者は一般に社会的経験も十分でなく、判断能力も完全ではありません。そのため未成年者は取引にあたっては親権者、後見人などの法定代理人に代理してもらうかその同意を得ない限り原則として単独では契約をなすことができず、もし単独で契約をした場合には後日それを取り消すことができる、とされています。
 もっとも未成年者であっても法定代理人から営業の許可を受けているような場合にはその営業に関しては成年者と同様の能力が認められる、などの一定の例外はあります。
 ところで昭和56年の商法改正において、取締役、監査役の欠格事由として、いくつかの事由が規定されるに至りました。その際未成年者と同じように行為無能力者と言われ、単独で契約をなすには制限のある、禁治産者、準禁治産者が欠格事由のなかに挙げられたのに対し、未成年者はこのなかに挙げられていません。したがってこの規定の解釈として、未成年者は禁治産者、準禁治産者と異なり取締役、監査役等の会社役員となりうるもの、と解されています。
 もっともこの欠格事由を規定するときに未成年者も含めるべきではないか、との議論はあったようです。未成年者の判断能力が十分でないことを考えればもっともな点もあります。
 しかしながら、最終的に未成年者は欠格事由のなかに加えられませんでした。これは、前述のように未成年者といえども法定代理人から営業許可を受けた場合には、その営業に関する限り成年者と同一の能力を有するとされていることや、同族子会社においてオーナー社長に死亡などの事情があり、やむをえず未成年者の親族を後継者としなければならないような場合があること、などが考慮されたものといわれています。
 以上から明らかなように未成年者であっても会社役員たりうるわけですが、会社役員になるということは、取締役であれ、監査役であれ、会社との間で委任契約を締結することにほかなりません。そうであれば未成年者が単独の意思だけで会社役員となることが認められないのも当然のことです。親権者、後見人などの法定代理人の代理によるか、少なくともその同意を得てはじめてその地位につくことが認められるわけです。
 また、いかに未成年者が会社役員となりうるといっても、小学校にもあがらないような幼児を役員に選任してよいなどと考える人はいないでしょう。自分が行う契約などの法律行為の意味を理解しうる能力、すなわち意思能力を有することは当然必要です。
 したがって、このような法定代理人の関与と未成年者の意思能力を前提としてはじめて未成年者を会社役員に選任できるわけです。
 もっとも取締役、監査役の職務の責任の重大さを考えると、未成年者を選任することは慎重に考えるべきことは当然です。事情が許す限り避けた方が賢明と言うべきでしょう。

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