役員規模はどのように定めるか

 当社では事業拡大に伴い役員の人数も増加しましたので、役員の処遇に関して役員規程を制定することになりました。どのようなことに注意して作成すればよいでしょうか。

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 役員規程は、商法などの法令や定款の定めに反しないように留意しつつ、従前の慣行を尊重して定めることが必要です。
 小規模な同族会社や取締役の数が法定の最低数(株式会社では3名です)に近い会社では、取締役会のルールや役員の心得、服務規律などを明文化しておく必要性は小さいと言えます。しかし、取締役の数がある程度増えてくると、役員の心得や、常務取締役とか専務取締役といった会社が置く役職の種類や職務内容、服務規律などを明文化しておくことが必要になります。このような明文化された規則を、役員就業規則とか役員規程あるいは役員勤務規程といいます。
 労働者の労働条件等を定める就業規則は、一定の規模以上の事業者については必ずこれを作成し、行政官庁に届出ることが義務づけられていますが、役員規程は、作成が法的に義務づけられているものではありません。したがって、その名称も自由に決めることができます。また、形式も、取締役会規程、監査役会規程、報酬退職慰労金規程等々のように、内容毎に別規程とする形式もありますし、一つの規程の中に、目的や役員の定義から出張旅費や慶弔見舞金に関する取決めなどの一通りの内容を盛り込む形式もあります。
 複数の人間が一つの目的に向かって行動するところには必ずルールが存在します。小規模な会社の役員相互間においても、たとえ明文化されていなくても取締役会の運営その他について一定の慣行が存在するのが普通です。役員規程は自社のために作成するのですから、自社の慣行を尊重し、それに従った内容にすべきことは当然です。もっとも、規則制定を機会に従前の慣行を変えたいとか、従前の慣行が法的に問題のある内容であるといった場合は別です。
 役員規程は、会社に関する基本法たる商法をはじめとする関係法規および定款に反することはできません。これに反する役員規程(の当該条項)は無効で、規範としての拘束力がありません。例えば、「取締役に不正や不行跡があった場合には取締役会決議でその取締役を退任させる」というような内容の懲戒処分を規定しても無効です。取締役の任免は株主総会の決議事項だからです。
 役員規程の内容は、一般的には次のようなものです。
 1. 総則:規程の目的、適用範囲、役員の肩書の種別等
 2. 資格:就任、退任に関する事項
 3. 会議規則:常務会、取締役会、監査役会に関する事項
 4. 服務:役員心得、勤務時間、休日休暇、欠勤・遅刻・早退等に関する事項
 5. 報酬、退職慰労金に関する事項
 6. 出張旅費等に関する事項
 7. 慶弔見舞金に関する事項
 8. 定年に関する事項
 役員報酬や退職慰労金は、定款又は株主総会で決めるべき事項です。しかし、支給に関する内部的規準があり、かつその基準を株主が知り得る場合には、株主総会は、個々の支結願や支払方法、時期等までは決めずにある程度包括的に取締役会に委任できるとするのが判例の考え方です。したがって、報酬や退職慰労金に関する基準は、明確に定めておく必要があります。
 近時、取締役の行為を監視する機関としての監査役の職務が重要視されるようになり、大会社(資本金額5億円以上又は負債額200億円以上の会社)においては、常勤監査役や社外監査役が必ず置かれるようになっています。このように、取締役とは相対立する役割が期待される監査役の規程は、取締役に関する規程とは別個に作成するのが適当であるといえます。
 役員の定年規程を定めても、それはあくまでも会長、社長、専務、常務といった肩書(役付)の定年としてしか意味を持ちません。取締役や監査役の地位は、株主総会によってしか左右できませんし、一定の年令に達したことは委任の終了事由にならないからです。
 取締役で「工場長」「支店長」「○○部長」といった肩書を有する者は、従業員としての地位も有しています。このような、使用人兼務取締役については、使用人=従業員としての職務行為に関しては就業規則の適用があることになります。

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