株主総会と取締役会との関係

 株主総会と取締役会はどのような関係にあるのでしょうか。その地位や権限において優劣はあるのでしょうか。

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 株式会社は、会社の所有と経営が分離された会社制度であり、会社の所有者である株主が直接経営に携わることなく、株主総会を通じて、経営の担当者である取締役をコントロールするしくみになっています。ですから、株主総会は、会社所有者が構成する会社の機関として、本来、最高の機関であり会社の実権を握る地位にあります。しかし、株主の数が多くなるにつれて、利益配当などの経済的利益にしか関心が無い株主が大部分になり、株主総会の形骸化などの弊害が増大したため、昭和25年の商法改正では、株主総会の権限を縮小する一方取締役会を法定し、多くの権限を取締役会に委ねるようになりました。現在、株主総会は会社の基本的事項の決定権と取締役の選任・解任権によって会社経営を間接的にコントロールし、取締役会は、定款および株主総会の決議に反しないように会社の業務執行の意思決定を行うという関係にあります。
 昭和25年の商法改正以前は、株主総会は、法令や定款に違反しないかぎり、会社運営のどのような事項についても決議することができました。しかし、同年の改正は、株主総会は商法または定款に定められた事項にかぎり決議できる、として株主総会の権限を縮小しました。商法で株主総会の権限と定められているのは、会社の基礎に変動を生じさせるような事項である定款変更・資本の減少・会社の解散や合併・営業譲渡などのほか、取締役や監査役の選任・解任、計算書類の承認、利益、処分案の承認などが主なものです。業務執行に関する意思決定はもっぱら取締役会の権限となっています。しかし、定款にあらかじめ定めておけば、上記のような法定事項以外の事項でも、株主総会の権限とすることは可能です。現実には株主数の膨大化と株主の経営への無間心から、法定事項についてさえも株主総会の決議は形式化・形骸化しているのですが、経営と所有の分離がそれほど明確化していない小会社などについては、株主総会の権限を拡大しておく必要性がある場合を考慮したわけです。
 株主総会の招集は、取締役会が決定し、代表取締役がそれを遂行します。招集通知には会議の目的たる事項を記載しなければなりませんから、取締役会では会議の目的や議案を決めなければなりません。取締役会が招集を怠っているような場合には、6か月前から引き続き発行済株式総数の100分の3以上の株式を有する株主(これを少数株主といいます)は、会議の目的たる事項と招集の理由を記載した書面で総会の招集を請求することができ、それでも招集手続がなされなければ、裁判所の許可を得て自ら招集することもできます。また6か月前から引き続き発行済株式総数の100分の1以上の株式または300株以上の株式を有する株主は、一定の手続を踏んで株主総会に議案を提出することもできます。
 取締役会は、取締役全員で構成される合議制の機関です。取締役会は、昭和25年以前にも定款で定められた機関として多くの株式会社に置かれていましたが、昭和25年の商法改正で、商法上規定された、株式会社の必要的・常置の機関となりました。
 取締役会の権限は、業務執行についての意思決定を行うこと、取締役会とならんで株式会社のもう1つの業務執行機関である代表取締役を選任・解任すること、代表取締役や業務担当取締役の行う業務執行を監督すること、などです。日常の業務執行の意思決定は、代表取締役に委ねられていますが、重要な財産の処分および譲受け、支配人そのほかの重要な使用人の選任・解任などの重要な業務執行については取締役会で決めなければなりません。
 株主総会の権限は歴史的には縮小してきましたが、今日でも株主総会は会社の基本的な意思決定を行い取締役の選任・解任権を持つ、会社の最高機関ということができます。しかし、会社の所有と経営の分離がかなり極端に進んでいる大会社においては株主総会は形骸化・儀式化しており、会社の現実の実権は取締役会および代表取締役が握っているといっても過言ではありません。
 昭和56年の商法改正では、先に説明した株主総会への株主の提案権や、取締役・監査役の説明義務など、株主総会を実のあるものにするための制度や、いわゆる総会屋・会社荒しを撲滅するための厳しい罰則などを規定しましたが、株主総会の活性化という点ではかならずしもその効果があがっていないようです。

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