取締役会と代表取締役・取締役との関係

 取締役会は、取締役と代表権を持つ代表取締役から成りますが、これらの関係についてご説明ください。

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 株式会社には、商法上規定された2つの必要的な業務執行機関があります。1つは取締役全員によって構成される合議体である取締役会であり、もう1つは業務執行の実行と会社代表行為を行う代表取締役です。それぞれの関係について、いくつかに区分して検討してみましょう。
 取締役会は、取締役全員によって構成される合議体であり、会社の業務執行の意思決定を行う機関です。個々の取締役は、取締役会に出席し、意見を述べ、決議に参加する権限と義務を持っています。取締役会の議決については、代表取締役であっても平取締役であってもすべて平等の立揚であり、原則として取締役の過半数が出席し、出席取締役の過半数をもって決議をします。ただし、この議決の要件は、定款で加重することはできます。
 個々の取締役は、取締役会を招集する権限を持っています。この招集権限は、取締役会で特定の取締役のみに与えるとすることもできますが、その場合でも、招集権を有すると定められた取締役以外の取締役は会議の目的たる事項を記載した書面を提出して、取締役会の招集を請求し、その請求から5日以内に請求日から2週間以内の日を会日とする取締役会の招集通知が発せられなかったときは自ら招集することもできます。実務では、代表取締役を招集権者と定めその者に事故があったときにはこれこれの取締役が招集する、というように定めることが多いようです。
 個々の取締役は、取締役会の構成員として代表取締役の業務執行を監督・監視する義務を負っていますが、取締役会に上程されていない事項についても監視義務を負う、とされています。
 取締役会は、その構成員である取締役の中から代表取締役を選任し、また解任する権限を有しています。代表取締役の人数は1人でも複数でもよく、複数の代表取締役を置くときは、取締役会で、散人の代表取締役が共同してのみ会社を代表できるとする共同代表の定めを置くこともできます。
 取締役会は、すでにご説明したように、会社の義務執行の意思決定を行う機関であり、代表取締役は、取締役会の意思決定にもとづいて、業務執行の実行をなす機関であって、両者は分化しています。ただ、義務執行の意思決定についても、会社の日常的な業務に関する事項の意思決定は代表取締役の権限であると考えられていますし、取締役会は、定款や取締役会規則あるいは個々の決議により、意思決定を代表取締役に委ねることも可能です。しかし、重要なる財産の処分・譲渡など、重要な業務執行の事項についての意思決定は、商法は、取締役会が専決すべきものとしており、代表取締役にこれを委ねてしまうことはできません。
 代表取締役は、会社の対内的業務執行についても対外的業務執行についても、およそ会社のなしうる一切の行為をなす権限を有しています。ただし、その業務執行は、取締役会の監督下にあります。取締役会の持つこの監有権を実効あらしめるために、代表取締役は、3か月に1回以上、業務執行の状況を取締役会に報告しなければなりません。もちろん、取締役会の要請があれば代表取締役はそれに対して業務執行状況の報告をしなければなりません。この監督・監視の権限は、代表取締役の業務執行の適法性だけでなく、妥当性にもおよぶものです。
 なお、会社によっては、定款の定めで、代表取締役以外の取締役に対内的業務執行権限を与えた、いわゆる業務担当取締役を置くところもありますが、義務担当取締役と取締役会の関係は、代表取締役と取締役会の関係とはほぼ同じです。

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