取締役と代表取締役

 取締役の中から代表取締役が選任されますが、取締役と代表取締役はどのような関係にあり、その職務と権限について具体的にどう違うのでしょうか。

スポンサーリンク

 代表取締役は取締役会によって取締役の中から選任されますが、たんなる取締役とは異なった職務と権限を与えられています。
 取締役は、株主総会において選任され、取締役会という合議体の構成員として会社の業務執行に関する意思決定に参与します。かつては、個々の取締役に会社代表権限をはじめ業務執行権限が認められていたときもありましたが、昭和25年の商法改正後は、会社の業務執行機関は取締役会と代表取締役の2つに分化し、個々の取締役は、原則として業務執行機関そのものではありません。
(1)業務執行の意思決定への参与
 取締役は、会社の業務執行機関である取締役会の構成員として、会社の業務執行について意見を述べ、意思決定に参与します。取締役会では、法令や定款で株主総会の権限とされている事項などを除き、会社の業務執行の全般について意思決定をします。この意思決定への参与は、取締役の最も基本的かつ重要な職務です。
(2)業務執行の監督・監視
 取締役会で決定された事項について、これを現実に執行するのは代表取締役や業務担当取締役の役目ですが、これらの者の業務執行が法令や定款、あるいは取締役会の決定に反しないかどうかを監督するのも取締役会の重要な任務です。個々の取締役は取締役会において、現実の業務執行状況に対して意見を述べたり、代表取締役などに対して業務執行に関する報告を求めたりあるいは決議することにより、監督を行います。この監視義務について、取締役は取締役会に上程されない事項についても、監視義務を負うとするのが判例・通説の立場ですから取締役としてはつねに会社の全般にわたって状況把握に努力しなければならないといえます。
(3)その他の権限
 取締役は、上記のような職務を遂行し、実現するために、取締役会を招集したり、会社運営に問題が生じた場合に株主総会決議取消の訴えなど各種の訴えを提起したりすることができます。
 代表取締役は、取締役会において取締役の中から選任され、会社を代表し会社の業務を執行する権限を持つ株式会社の機関です。イ国々の取締役は、取締役会を通じて、会社の業務執行に関する意思決定をするわけですが、その意思決定にもとづいて取締役会の監督の下に業務執行を実行するのが代表取締役です。代表取締役は、取締役会とならんで会社にとってはかならず置かなくてはならない機関です。会社の業務執行には、他社との取引のような対外的なものと、会社の組織の維持運営のような対内的なものがあり、前者をとくに代表行為と呼びます。代表取締役の代表権限は、会社の営業に関する一切の行為におよび、これに制限を加えても、その制限の存在を知らない第三者(善意の第三者)には対抗できません。
 一方、対内的な業務執行権についても、定款や取締役会規則などでとくに制限したもの以外は、会社のなしうる一切の事項におよびます。なお、重要なる財産の処分や譲渡など一定の重要な業務執行については、代表取締役に決定を委ねることはできず、取締役会が決めなければならないと規定されています。また、代表取締役は業務の執行状況を、3か月に1回以上、取締役会に報告しなければなりません。
 以上のような業務執行の実行のほか、代表取締役は、日常的な業務の意思決定、および定款や取締役会規則などにより委ねられた事項についての業務執行の意思決定を行います。
 代表取締役は取締役の中から選ばれるのですが、両者の職務と権限については、以上のような違いがあります。両者の関係については、取締役は取締役会の構成員としての職務のほかに、定款の定めにより業務担当取締役となったり、あるいは使用人兼務取締役になったときには、会社の対内的業務執行の実行をなす職務と権限を持ち、この場合には代表取締役の指揮の下に業務執行を実行するのが通例です。また、取締役が代表取締役から一定の事項について個別委任をうけ、代表取締役の代理人として対外的業務を執行することもあります。

copyrght(c).会社役員の法務.all; rights; reserved

会社役員とは
発起人とは
取締役と代表取締役
業務担当取締役とは
社外取締役とは
取締役の肩書の付け方
相談役・顧問とは
取締役会長とは
使用人兼務取締役とは
執行役員とは
常勤役員と非常勤役員の区別
監査役とは
社外監査役とは
社内監査役と社外監査役
会計監査人とは
検査役とは
会社役員は労働者か
会社役員と社会保険の適用
会社役員と労働保険の適用
労災保険の特別加入制度とは
取締役と監査役との関係
取締役会と代表取締役・取締役との関係
会社役員と株主総会との関係
会社役員と株主との関係
株主総会と取締役会との関係
役員規模はどのように定めるか
会社役員の資格に制限はあるか
在任中の取締役に欠格事由が生じた場合
破産会社の会社役員は役員欠格者となるか
会社役員を株主に限定できるか
未成年は会社役員になれるか
破産者は会社役員になれるか
法人は会社役員になれるか
公務員は会社役員になれるか
懲役刑の執行猶予中の者は会社役員になれるか
会社役員を日本人に限ってよいか
監査役は取締役を兼任できるか
親会社取締役と子会社監査役の兼任はできるか
親会社監査役と子会社取締役の兼任はできるか
海外子会社の取締役を兼任できるか
ニ社の監査役を兼任できるか
子会社の取締役兼任と競業取引
親子会社の取締役兼任と自己取引
独禁法による役員兼任の制限
会社役員の人数に制限はあるか
監査役の増員
定款で取締役の人数を定めるとき
取締役の人数が少なくなったとき
監査役の人数が少なくなったとき
社外監査役を欠いたとき
定款所定の人数をこえた役員の選任
代表取締役が行方不明になったとき
取締役の選任方法
取締役の任期の定め方
取締役の職務
取締役の一般義務
取締役が負う民事上の責任
取締役会とは
株主総会の性格と機能
役員の報酬はどのようにして決めるか
有限会社の役員の人数や資格に制限はあるか
税法上の役員とは
交際費の判断基準
寄付金の経理の方法
創業祭等の協賛金
交際費と福利厚生費の区分
創立記念パーティーに要した費用
使途不明金の意味
法務上の役員の範囲
役員退職給与と使用人に支給する退職金との取扱いの差異