会計監査人とは

 大会社には監査役のほかに会計監査人を置かなければならないそうですが、この会計監査人とは具体的にどのような職務を行うのでしょうか。また、監査役との関係はどうなるのでしょうか。

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 会計監査人は、資本金5億円以上または負債額200億円以上の、いわゆる大会社における会計監査を担当します。大会社の監査役は会計監査と業務監査の両権限を有しますが、会計監査は会計監査人が中心となって行い、監査役は会計監査人の監査の方法や結果についてチェック(再調査)することと、業務監査を主に行います。
 会計監査人の監査を受けなければならないとする監査制度は、昭和49年の商法改正により、資本の額が5億円以上または負債の合計額が200億円以上の株式会社(大会社)に対して採用されました。会計監査人は、公認会計士または監査法人でなければならないと決められています。このような、会計監査を職業とする、専門家による会計監査が大会社に強制されることになった背景には、粉飾決算による大会社の倒産が相次ぎ、従前の監査制度では、倒産に至るまで粉飾決算が発見できなかったという事実があります。数量も膨大で複雑多岐にわたる大会社の会計を適正に判断するには、社外の、会計のプロの手による監査が必要である、という考えにもとづく監査制度といえます。
 会計監査人の職務は、ひとことで言えば、会計の専門家としての目をもって、大会社の会計監査を行うことです。この会計監査のために会計監査人には、次のような権限や義務があります。
 1. いつでも、会社の会計の帳簿および書類の閲覧や謄写をすることができる。
 2. 取締役および支配人その他の使用人に対して会計に閲する報告を求めることができる。
 3. その職務を行うため必要があるときは、会社の業務および財産の状況を調査することができる。
 4. 子会社に対しても会計に関する報告を求め、または子会社の業務および財産の状況を調査することができる。
 5. 職務を行うに際して、取締役の職務遂行に関する不正行為、法令や定款違反の重大な事実を発見したときは、監査役会に報告しなければならない。
 6. 毎決算期に作成される会社の貸借対照表等の計算書類およびその附属明細書に関して監査を行い、監査報告書を監査役会および取締役に提出しなければならない。
 7. 任務を怠ったことにより、会社に損害を生じさせたときは、会社に対し損害賠償責任を負う。
 8. 監査報告書に重要な事項について虚偽の記載をした場合、会社以外の第三者に対しても損害賠償責任を負うことがある。
 ここで、3.に記載した会計監査人の業務等の調査権は、あくまでも会計監査のために、それに必要な限度で行うものであって、会計監査人に業務監査の権限を認めたものではありません。
 資本金額が1億円以下で、かつ負債額が200億円以下の株式会社(小会社)以外の株式会社の監査役には、業務監査権と会計監査権の両方があります。そこで、大会社については会計監査人と監査役の両方が会計監査を行うことになり、両者の会計監査の関係が問題となります。
 この点については、大会社の会計監査については、会計監査人の監査が1次的であり、監査役の監査は2次的なものである、とする考え方が有力です。監査役会の作成する監査報告書には、「会計監査人の監査の方法又は結果を相当でないと認めたときはその旨及び理由並びに監査役の監査の方法の概要又は結果」を記載しなければならないが、会計監査人の監査を担当と認める場合には、監査役会は、自らの会計監査の結果を監査報告書に記載しないでもよいとされていることなどが、その根拠です。
 しかし、大会社の監査役も、会計監査について会計監査人に任せきりにして、自ら会計監査をしなくてよい、ということはありません。監査役には、会計の専門家である会計監査人が行うのと同様な調査や監査が要求されるわけではありませんが、会計監査人の監査の相当性を判断するためにも、監査役独自の立場からの会計監査が必要です。

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