社外監査役とは
商法改正により、いわゆる社外監査役制度が取り入れられることになったそうですが、社外監査役について詳しくご説明ください。
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社外監査役とは、その会社の社外の人物から選任される監査役、という意味であり、厳密には、就任前5年間にその会社または子会社の取締役または支配人その他の使用人でなかった者、から選任される監査役ということになります。
商法改正では、
(1)すべての株式会社の監査役について、任期をそれまでの2年から3年にのばす。
(2)大会社(資本金額が5億円以上または負債総額が200億円以上の株式会社)について
1. 監査役の人数を2人以上から3人以上に増やす。
2. 監査役のうち1人以上は、就任前5年間その会社または子会社の取締役または支配人その他の使用人でなかった者から選ばなければならない。
3. 監査役会を設置するという点が、従前に比べて改正されました。このうち、(2)の2.がいわゆる社外監査役制度です。
社外監査役制度は、複数いる監査役のなかに会社の業務に関して中立的・第三者的な立場の者を入れることにより、監査役の監査機能を高め、あるいは強化することを目的としています。
従来、大会社の監査役に就く人は、その会社の取締役や使用人などの出身者が圧倒的に多いのが現状でした。社内出身の監査役は、言うまでもなくその会社の業務に長年従事してきたわけですから業務や内部事情に精通しており、業務に関する情報収集や調査・分析を迅速かつ的確に行えるという長所があります。しかし他方、このような社内監査役は、現在の代表取締役やその他の取締役・使用人らと職務上長い間のつき合いがあるので、心情的にも現取締役の業務執行に同調しやすいとか、会社業務の円滑な遂行に視点が傾きがちであるという短所があります。
このため、平成5年の商法改正では、会社の業務執行から距離を置いた、客観的・第三者的な観点から監査意見を述べられる社外監査役を最低1名は監査役の中に加え、社内監査役と社外監査役の協力により、一層適切な監査が実現できるようにしようとしたものです。
社外監査役は、就任前5年間その会社またはその子会社の取締役または支配人その他の使用人でなかった者、の中から選ばれなければなりません。選任手続は、社内監査役と同様、株主総会で選任されます。
この用件を満たすかぎり、どのような経歴の人の中から選任するかは、すべて会社(株主総会)の判断に任されています。専門的知識を活かしてもらうために、弁護士や公認会計士などの中から選任するのもかまいませんし、系列会社や取引先銀行から派遣された者を選任してもかまいません。
就任前5年間に子会社の取締役や支配人などの使用人であった者は社外監査役とはなりえませんが、親会社の取締役であった者が子会社の監査役に就任する場合には、社外監査役になります。子会社の取締役や使用人は親会社の役員などの支配を受けやすい立場にあるため、客観的な立場からの監査という役割を担う社外監査役には不適当である、という理由からです。ここでいう子会社とは、発行済株式総数の過半数を親会社が持っている関係にある場合をいい、社長が共通であるとか、実質的な支配関係にあるとかいうこととは別です。
大会社においては、監査役の互選により、常勤監査役を定めなければなりません。常勤・非常勤と社内監査役・社外監査役の関係については、法はとくに定めていませんので、社外監査役は非常勤でも常勤でもどちらでもよいことになります。ただし実際には、社外監査役は社外から、ほかに職業や一定の地位を持っている人を選ぶ場合が多いので、非常勤となるケースが多いのではないかと思われます。
なお、常勤・非常勤の区別が登記事項でないのと同様、社外監査役かどうかは登記事項とはなっていませんので、会社の登記簿謄本を見ただけでは社外監査役かどうかはわかりません。
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