発起人とは

 友人から、株式会社を設立するから発起人になってくれないかと頼まれました。発起人は取締役とはどのような違いがあるのでしょうか。また、発起人の地位や権限、責任などについて教えてください

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 発起人は、株式会社の設立企画者であり、設立中の会社の業務執行機関です。取締役は設立された(法人格を取得した)株式会社の業務執行機関の1つである取締役会の構成員であり、取締役会を介して会社の運営に参与し、代表取締役となった場合には、株式会社の業務執行機関となります。
 会社(株式会社にかぎりません。)は、設立の登記をすることによって成立し、法人格を取得します。設立された株式会社の取締役は、株式会社の業務執行機関の1つである取締役会の構成員として、会社の業務執行の意思決定に参与します。また、株式会社のもう1つの業務執行機関である代表取締役や業務担当取締役の行う業務執行を監督、監視する権限と義務を有し、そのために取締役会を招集したり、株主総会決議取消の訴えなど各種の訴えを提起する権限を有しています。
 取締役会によって代表取締役として選任された場合には、業務執行機関としての地位、権限、責任を有することになります。
 株式会社を設立するには、時間的経過に従って説明すると、まず会社の設立企両者間に会社の設立を目的とする契約が締結され(設立企両者が1人の場合にはこの契約は考えられません。)、次に設立手続が進められます。設立手続は、会社設立に際して発行する株式の一部を発起人以外の者に引き受けさせる場合(これを募集設立といいます。)と、全株式を発起人が引き受ける場合(これを発起設立といいます。)とでは少し異なりますが、募集設立の場合についてみると、定款の作成、公証人による定款の認証、株式発行事項の決定、発起人による株式の引受け、株式の募集による発起人以外の者の株式の引受け、出資(払込み)の請求と払込み、創立総会の招集、創立総会の開催と取締役・監査役の選任、設立登記といった順序で進んでいきます。
 会社の設立企画から設立手続の全過程を執行していく者が発起人です。
 ただ、法律的には、発起人として定款に署名した者が発起人であり、会社の設立手続に事実上参画した者であっても定款に発起人として署名していなければ、発起人ではありません。発起人ではなくても、株式募集公告などに発起人であるかのような表示をした者などは、擬似発起人と呼ばれ、発起人と同一の責任を負います。
 株式会社の取締役は3人以上であることが必要ですが発起人は1人でもかまいません(平成2年の商法改正前は、発起人は7人以上存在することが要求されていました。)。人数の上限はありません。
 取締役については、欠格事由の規定があり禁治産者、準禁治産者、破産者などは取締役になれません。また、通説、判例は法人は取締役になれないとしています。発起人については、このような資格上の制限はとくにありません。
 発起人は、会社の設立事務を執行する権限があります(これは同時に義務でもあります。)。発起人がその権限内で行った行為の効果、例えば株式の払込金や現物出資された財産などは、会社の設立と同時に、当然に成立後の会社に帰属します。
 発起人は、書面によって最低1株以上の株式を引き受けなければなりません。また、会社の設立企画者、設立中の会社の業務執行者として設立手続を進め、株式会社を設立する責任があります。具体的には以下のような責任を負います。
(1)会社に対する責任
 会社の設立に際して発行する株式で会社成立後も引受けのない株式があるときや株式の申込みが取消されたときは、発起人は会社設立当時の取締役と共同してその株式を引き受けたものとみなされます(したがってその株式分の払込みをしなければなりません。)。
 会社成立後も払込未済の株式があるときも、発起人は設立当時の取締役と連帯して払込義務を負います(これを資本充実責任と呼びます。)。
 発起人が会社の設立に関して任務を怠ったときは、会社に対して損害賠償の責任を負います。
(2)第三者に対する責任
 発起人が会社の設立に関して任務を怠り、その任務塀怠に悪意または重大な過失がある場合には、その結果損害をこうむった第三者に対しても損害賠償の責任を負います。
(3)会社不成立の場合の責任
 会社が成立しなかった場合には、発起人は会社の設立に関してなした行為の全てについて連帯して責任を負います。
 会社設立に関して支出した費用は、すべて発起人が負担しなければなりません。

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